歯の解剖 初級編 〜すべての歯科医療関係者に必要な知識1〜

歯牙解剖

はじめに

歯科衛生士を目指す学生が学ぶ「口腔解剖学」のうち、「歯の解剖学」の最初の授業で習う内容です。基本的には歯科衛生士の教科書の流れに沿って、特に学問的にも臨床的にも大切な部分をピックアップして書いています。

もちろん歯科衛生士だけでなく、歯科技工士歯科医師などの国家資格を目指している方や、歯科医院で初めてアシスタント歯科助手として働く方が最初に身につけるべき内容でもあるので、活用していただければと思います。

目次

  1. 「歯」ってなに
  2. 歯の働き
  3. 歯の交換(はえかわり)
  4. 歯の組織
  5. 歯の各部分の名称

1. 「歯」ってなに

・哺乳類、爬虫類、両生類、魚類の動物にある
・顎(アゴ)の骨に生えている
ハイドロキシアパタイト(リン酸カルシウム)が主な成分の“硬い結晶”

2. 歯の働き

・主な機能
摂食(食べる)
切断(かみ切る)
咀嚼(かみつぶす)

・そのほかの機能
発音(歯がないとしゃべりにくい)
審美(歯がないとカッコわるい)
武器(動物同士の戦い、たまに人間もかみつく!?)

3. 歯の交換(はえかわり)

・多生歯性:何回も生え変わる (爬虫類 以下の動物)
・二生歯性:1回だけ生え変わる (哺乳類)
・一生歯性:生え変わらない  (ヒトの大臼歯など)

※歯がはえかわる意義
歯そのものは一度生えてしまうと、大きさも数も変わらない
一方で子どもから大人になるにつれて、顎(アゴ)の骨は成長して大きくなる
子どもの小さい歯のままで大人になると、歯は小さすぎるしスキマもできる
→生え変わることで、このアンバランスを解消する!

左図:乳歯  右図:永久歯
乳歯と永久歯はこんなに形も大きさも違う!

4. 歯の組織(歯を構成する要素)

→「口腔組織学」で詳しく説明します
エナメル質
象牙質
セメント質
歯髄(しずい) →俗にいう歯の神経

5. 歯の各部分の名称

  • 歯冠(しかん)
    エナメル質で覆われる部分(解剖学的)
    口腔内に露出する(歯ぐきから見えている)部分(臨床的)
  • 歯根(しこん)
    セメント質で覆われる部分(解剖学的)
    歯肉に覆われる(歯ぐきに隠れている)部分(臨床的)
  • 歯頸線(しけいせん)
    歯冠と歯根の境界線
歯冠と歯根
「臨床的歯冠」は年齢によって変化する
  • 根尖(こんせん)
    歯根の先端の部分
  • 根尖孔(こんせんこう)
    根尖にある小さい孔 血管・神経の通り道
     
  • 歯髄腔(しずいくう)
    象牙質の内側の、歯髄が入っている空間
  • 髄室(ずいしつ)
    歯髄腔のうち歯冠のなかにある部分
  • 根管(こんかん)
    歯髄腔のうち歯根のなかにある部分 
  • 髄床底(ずいしょうてい)
    根が複数ある歯の、髄室の下壁(髄室を部屋に例えると「床」の部分)
  • 根管口(こんかんこう)
    髄床底にある、根管への入り口
  • 天蓋(てんがい)
    髄室の上壁(髄室を部屋に例えると「天井」の部分)
  • 髄室角(ずいしつかく)
    天蓋からさらに突出した部分 咬頭(歯冠の山)の形に沿う

note版はこちら
https://note.com/dr_kaku/n/n389db125ec81

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