はじめに
歯科衛生士を目指す学生が学ぶ「口腔解剖学」のうち、「歯の解剖学」の最初の授業で習う内容です。基本的には歯科衛生士の教科書の流れに沿って、特に学問的にも臨床的にも大切な部分をピックアップして書いています。
もちろん歯科衛生士だけでなく、歯科技工士、歯科医師などの国家資格を目指している方や、歯科医院で初めてアシスタント・歯科助手として働く方が最初に身につけるべき内容でもあるので、活用していただければと思います。
今回は第2回、仕事をする上で必須の「歯の呼び方」がメインとなります。
目次
- 歯の種類と数
- 歯の表示の仕方
1. 歯の種類と数
初めに上下左右について説明します。
上下は「上の歯」「下の歯」なので、すぐわかりますよね。
正確にいうと、上は上顎(じょうがく)、下は下顎(かがく)と呼びます。
左右については注意が必要です。
「右手」という時、その人にとって‘‘みぎがわ’’にある手が右手ですよね。
歯も同じです。
本人から見て‘‘みぎがわ’’にあるのが右側(うそく)、‘‘ひだりがわ’’にあるのが左側(さそく)です。
ではあなたが目の前にいる患者さんと向き合うとどうでしょう?
あなたにとって‘‘みぎがわ’’に患者さんの「左側」が、あなたにとって‘‘ひだりがわ’’に「右側」がくるので、気をつけてください。
・永久歯(全部で32本が基本)
切歯 :正中から左右に各2本 前から順に「中切歯」「側切歯」
犬歯 :側切歯の次に左右各1本
小臼歯 :犬歯の次に左右各2本 前から順に「第一小臼歯」「第二小臼歯」
大臼歯 :小臼歯の次に左右各3本 前から順に「第一大臼歯」「第二大臼歯」「第三大臼歯」
※一番奥の歯「第三大臼歯(親知らず)」がもともと無い場合もある
・乳歯(全部で20本)
乳切歯 :正中から左右に各2本 前から順に「乳中切歯」「乳側切歯」
乳犬歯 :乳側切歯の次に左右各1本
乳臼歯 :乳犬歯の次に左右各2本 前から順に「第一乳臼歯」「第二乳臼歯」
2. 歯の表示の仕方
数字やアルファベットを用いて表現するのが一般的です。
永久歯は前から順に並んだ数字なのでわかりやすいですが、乳歯はアルファベット順です。衛生士学校のテストに出すと、アルファベットを覚えていない学生さんが多いので要注意ですよ!
・永久歯
中切歯 「1」
側切歯 「2」
犬歯 「3」
第一小臼歯 「4」
第二小臼歯 「5」
第一大臼歯 「6」
第二大臼歯 「7」
第三大臼歯 「8」
・乳歯
乳中切歯 「A」
乳側切歯 「B」
乳犬歯 「C」
第一乳臼歯 「D」
第二乳臼歯 「E」
これらに上下左右を表すカギカッコをつけて、記号であらわします。
下の図のように、その歯が十字の赤線に対してどの位置にある数字の歯なのか、を見ればそれがそのまま歯をあらわす記号になっていることがわかります。
あともう1種類、FDIの方式といって、2桁の数字であらわす方法もあります。
下の図のように、2桁のうち一の位は前から順に並んだ数字、十の位は永久歯が右上1、左上2、左下3、右下4、乳歯が右上5、左上6、左下7、右下8となっています。十の位は時計回りになっていると覚えましょう。
note版はこちら
https://note.com/dr_kaku/n/n54ada1063dfe